職人工舎の家造り

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家造りに関わる職人の現状

家造りをしていて、これで良いのだろうか?と思っても言えない。
こうしたらもっと良くなるのではと思っても出来ない。
現状の建築の下請け制度と施主の見えない流れ作業の現場で、住まい手にとって本当に良い家に果たしてなるのだろうか。
職人の知恵袋は無限大(先人からの継承も含む)です。
職人が生業を続ける為には、大手住宅メーカー、中堅ビルダー、ローコストフランチャイズ店の手間請けによる仕事をしないと生活できません。
更に、限られたコストで標準化された材料を図面通りに組立てる流れ作業をどれだけ短い工期でこなすかが生き残りのカギとなります。
一昔前は地元の棟梁(職人)が、元請になって各職人を束ねて家造りをしていたのですが、今では作業員となって知恵をひねることがありません。知恵も廃れていき、承継すら出来ません。
この現状は何となく不自然です。
「職人気質」とは「職人に特有だといわれる性質。一見偏屈に見えたり、頑固にみえたりするが,誠実で自分の仕事に誇りをもち、気に入った仕事なら損得を無視してまでするといった気質。」と説明されます。
本来、「職人のプライドにかけて家造りをする」というような心意気やそれを裏付ける技術があります。


現代の戸建住宅・・・
現代住居の地域制
現代の住宅は地域による特色が薄らいでいる。(ほとんどなくなりつつある)
要因(1)・・・テレビ、雑誌、インターネットなどマスメディアの発達によって人々の住宅に対するイメージや要求が共通になってきたこと。(供給側からの映像による画一化)各々の家庭の暮らしがあるはずが、一定のスタイルに誘導されている観もある。
要因(2)・・・地域間の人口移動の活性化によって地域固有の伝統や習慣が薄らいでいること。
要因(3)・・・住宅産業及び流通産業の発達によって住宅部品や建築材料が全国どこでも共通になっていること。
要因(4)・・・住宅建築の法規制が全国一律のため住宅の型が類似してしまうこと。
大工・工務店に頼む注文住宅と商品化住宅の違い
設計上の違いには、大工・工務店では、住む人に合わせて住宅の形を決める(中にはヒアリング力がなく決まった
形しかしない人もいる)のに対し、商品化住宅では、不特定多数の買い手に向けて、予め「商品」として住宅の形を設定しなければならない点である。
より多く売られる「商品」を作るためには、不特定多数の買い手の好みに合わせなければならない。企業の力の大きいところは、需要調査や売れ筋住宅分析などの検討が重ねられて、購入層となる家族像やライフスタイルを設定して設計モデルをつくり、より利益率の上がるようコスト計算を行い、仕様を検討する。また、他社と間取りでは似通ってくるので、外構や設備、仕上げ材の色と装飾的な付属部品で差別化を図る。
販売手法は、プレゼン能力のある営業スペシャリストを揃え、購入者の販売意欲を誘導する。更には、企業側から買い手の好みを誘導することまで行われている。
この企業努力によって、様々な時折折の商品化住宅が街に建設され、地域性や個別性のない画一化された景観が形成される。地元の大工・工務店も企業の指定工事店となって存続している場合も多くあり、商品化住宅を現場で実際に建設しているのは、地元の大工・工務店であります。
これからのつくりてとして・・・
手造りから工業製品へと向かう社会の流れから見て、住宅産業の力は弱まることなく、商品化住宅は今後も増えるであろう。一部で手造り注文住宅の動きはあるが、大きな流れは工場生産の標準化された既製品での家造りです。経済性が良いためでもある。
画一性からの脱却を真剣に考えよう。
住宅は個人の所有物であると同時に、地域の建造物としての社会的な存在でもあります。快適な住環境は居住者自身によって形成される。
表面的な飾りや仕上げ、設備に惑わされない、より本質的な住生活のあり方を住み手と共に考え、居心地の良い空間づくりを目指します。
また、近隣に対して閉ざされた構えではなく、良好な関係を築く姿勢を目指します。
今なお、住宅の造り手は我々職人です。商品化住宅も実は我々職人が造ります。
これからの住まいの造りてとして、出来ることから始めていきます。

我々職人は、住まい手と共に知恵を出し家造りの提案・予算配分をします。
我々職人は、流れ作業の作業員にあらず、住まい手の顔を思い徹底して造り上げます。
我々職人は、各々の仕事に誇りと責任を持ち、住まい手と良好な関係を継続します。
我々職人は、地域の材料を活かし、技術を伝承します。
我々職人は、今までの保守的な傾向を変え、住まい手のライフスタイルを重視します。
我々職人は、信頼して任せて頂いた住まい手の笑顔を一つ一つ積み上げます。